なぜカルボナーラは日本人の私には難しいのか

2021-07-24料理,日記

カルボナーラのイラスト(スパゲッティ)

カルボナーラの意味は、「炭焼職人風」。ブラックペッパーが炭焼き職人を連想させたという説があるらしい。

料理としてはベーコンなどを焼いて卵とチーズを混ぜてパスタに絡めたもの。このシンプルさからイタリアでは日本人における釜玉うどんくらい身近な料理で……きっと間違いない。

そんなことを考えながら簡単だろうと思って作るのだが、意外と失敗する。レシピをよく読んで作っても失敗する。

なぜだろうか? そんなことを考えた記事。

計って茹でる

カルボナーラを作る工程を大まかに説明すると、パスタを茹でる、ベーコンを焼く、卵とチーズを混ぜる、そして全部フライパンの上で混ぜて弱火で慎重に火を入れれば、完成する。

細かく工程を見ていこう。まず、パスタを茹でるために湯を沸かす。

パスタは細めのスパゲッティやねじれたやつが合う。道具は鍋でもフライパンでも良い。

ここで失敗しない1つ目のポイントとして、水と塩の量をちゃんと測るというのがある。

1食分だとパスタ100g(スパゲッティなら一束になっている)に対して水800ml~1000mlで塩4~5gだ。フライパンで作るときは蒸発して塩辛くなるので塩は4gくらいでいいと思う。鍋で複数人分作るなら水1Lに対して塩5gくらいにする。これは薄味なのであとで調節する。そしてパスタを指定時間-30秒くらい茹でる。

そもそもなぜパスタを塩水で茹でるのか? 目的がわからないと思う。ほとんど変わらないという人までいる。

塩水で茹でる理由の1つ目は、パスタ全体に塩味がまとわりつくことだ。味にパンチが出ると表現される。パスタは基本的に複雑な形をしている。これに塩をかけるのではなく、塩水で茹でてまとわせると、味に大きな違いが出る。

2つ目は、茹で汁を料理に使用するというのがある。塩味のついたデンプンが溶け出した茹で汁を、ソース作りで使う。この茹で汁を油に混ぜると撹拌する。すると泡立ってソースがパスタによく絡まる。特にペペロンチーノとか作るとわかる。油だけだと油べったり、になるが茹で汁を入れるとパスタ全体にツルペタっと絡まる。油濃度を調節できるとも言える。

なるほど? 塩を入れる理由はわかった。しかしパスタを茹でようとすると、水の量を測るのに違和感を覚える人も多いと思う。なんかめんどくさく感じないか? 

パスタをちゃんと計って茹でるのをめんどくさく感じる理由は、日本食の文化と違うからだと思う。うどんもラーメンも素麺も塩水で茹でない。お湯は多いほど良いとされているのでわざわざ計る必要もない。茹で汁も塩辛かったり粉っぽいので捨てて料理に使ったりはしない。使うといえば蕎麦湯くらいだ。

だからその調子でいくとパスタも水を計らず、茹で汁を捨ててしまう。しかしこれからはパスタは逆になると覚えて茹で汁を捨てずに料理に使ってみよう。適切な量でパスタソースがちょうどいい具合になる。あと塩分は後でソースにいれることで修正可能だ。なので薄味から始めて調節するのがいい。

ベーコンを焼いた旨味

さて長くなったが量を計ってやっと水を火にかけた。その後はフライパンでベーコンを焼いていこう。本場はベーコンでなくベーコンになる前の段階のパンチェッタというのを使うらしい。自分は付近で売ってないと思うのでベーコンを使っている。

カルボナーラを作って食べるとわかるが、この焼いたベーコンから出る旨味成分が、カルボナーラの旨味の大半になる。カルボナーラはこれ食ってるようなもんだ。

ベーコンを適当に細長い感じで切って、オリーブ油で弱火~中火で「カリカリになるまで」焼いていく。ニンニクを入れたい人は少し待ってから入れる。ニンニクをベーコンに付き合わせるとニンニクが先に焦げてしまうので少し時間を置いてから入れる。

目指しているベーコンのカリカリ度合いによっては、パスタが先に茹で上がるかもしれない。その場合は水を火にかけるより前にベーコンを焼く作業を先に始めたほうが良いだろう。

チーズ売ってない

ベーコンを焼いている間に卵とチーズを測って混ぜる。ここで細かいがアレンジが可能だ。卵を黄身だけにする、生クリームをいれる。などがある。自分は卵の白身を捨てるのがもったいないので、卵一個とチーズ30gといった分量にしている。白身を捨てて黄身だけにすると濃厚になる、その場合卵黄2個にする。生クリームや牛乳をいれるとクリーム系パスタの味になる、少し入れたほうが個人的には食べやすい。最初は入れずに作ってみよう。

さてここでチーズと言ったが、ここにカルボナーラを難しくする要因2つ目がある。チーズが日本人に分かりづらいのだ。

スーパーに行くとミックスチーズが安く売っているのだが、これをカルボナーラにつかうと不味い。もちろん緑色の筒に入っている粉チーズは論外。

基本的にカルボナーラにはパルミジャーノ・レッジャーノというチーズを使う。そうなのかと改めてスーパーを探せば、あるにはあるが、すりおろさないとダメな形で売っていて、これが妙に高い。気軽に食べられない。

じゃあどれを買えばいいんだとなる。なら業務スーパーに行ってみよう。

業務スーパーにいくと、カルボナーラ用と思われる粉になった状態で袋詰になったやつが売ってる。500g1000円。中身がパルミジャーノ・レッジャーノなのかはわからないが安いし500gあるのでたくさん作れる。

業務スーパー来たついでに、ベーコン、卵、ブラックペッパー、あと好みでにんにくを買っておけば、無限にカルボナーラを作れる。

つまるところ日本では業務スーパーに行かないとカルボナーラを気軽に作れないということになっている。

ソースの合わせ方

話を戻して、卵とチーズを混ぜたらブラックペッパーをかけておく。

さて最後の工程だ。ここまでで、茹でたパスタ、茹で汁、焼いたベーコン+油、混ぜ合わせたチーズ卵がある。

次に重要なポイントは、これらの合わせ方にある。なぜなら卵は60度くらいから固まる。なので熱い油とパスタにチーズ卵を投入したりすると卵が固まりボソボソになる。ボソボソだらけになると、チャーハンになってしまう。これはわりかし不味い。

特にチーズ卵と焼いたベーコン油を直接かけ合わせたときと、熱々のパスタとチーズ卵を合わせるときにチャーハン化が起こりやすい。それを考えて低温になるのを待ってから混ぜるのだが、意外と温度が高いのか、卵が固まりダマへとなってしまう。よくあるミスの一つだ。

冷めるまでさらに待つしかないのか? いやもっと良い安全策がある。茹で汁を使うことだ。茹で汁が熱を受ける緩衝材となり失敗しづらいし、硬さを調整しやすい。合わせる時は合わせるもの両方に茹で汁を入れてから混ぜると覚えよう。以下にダマになりづらい手順の一例を上げる。

1.ベーコン油に茹で汁を入れる。撹拌もしておく。

2.茹で汁をチーズ卵に4,5mlくらい入れて混ぜておく。茹で汁は100度くらいあると思うので、すくったり容器を伝わって入れて少し冷ましながら入れる。

3.ベーコン油にパスタをすくっていれる。余談だがamazonで700円くらいで売ってるトングを使うと鍋からそのまま掴んでフライパンに入れられる。混ぜ合わせたあと、火を止め冷ます。

4.チーズ卵をパスタ+ベーコン油いれて混ぜ合わせる。

あとは弱火で、茹で汁で増えた水分を飛ばし、チーズを溶かしてトロッとするまで火を入れる。ここで火を入れすぎても固まるので慎重に。加減はシャバシャバからトロッの間、膜を貼るくらい。

味見

味を見る。そして塩やブラックペッパーをかけよう。さて完成だ。スパゲッティの場合、トングでパスタを掴んで回すように皿に盛り付けるとかっこよい。粉チーズを降っても良い。あとは熱いうちに食べよう。

カルボナーラは慣れると簡単で美味しいので面白い料理だ。